研究テーマ紹介


 本研究室では,混相流・医療応用・生体内流の3テーマに対して,「ミクロな解析によってマクロな現象を解明する」ことを目的とし,シミュレーション及び実験による研究を行っています。

最近の卒論・修論のテーマ

 ◆ 混相流  研究テーマ

 混相流は水処理の曝気槽や熱交換器を始め,様々なプロセスで見受けられますが,そこには通常の連続体力学の問題に加え分散相と連続相の相互作用による影響が複雑に関わっており,多くの場合に十分な現象の解明には至ってはいません.これは混相流が分子スケールから機器のサイズに至るまで,スケールが多岐に亘るマルチスケール性を有するためであります.例えば,気泡流では界面活性剤などの不純物が流動場に微量に混入しただけでも気液界面の振る舞いが分子スケールで著しく変化し,結果として個々の気泡の振る舞いが大きく変わり,最終的にはシステム全体の性能に大きな影響を及ぼします.これらを踏まえた上で本研究室では,気液の相互干渉についてミクロ,メゾ,マクロな視点から,そして数値計算,実験の双方から研究を進め,気液二相流の微細構造から全体像までを理解することを目指しています.

 ◆ 医療用超音波  研究テーマ

  高齢化が進む現代社会において,低侵襲かつ安価な診断・治療法として超音波が大きな注目を集めています.私たちの研究室では,診断・治療一体型の超音波機器の開発を進めています.そのためには,新しいモニタリング(診断)法や治療法が必要となります.その実現に向けて様々な技術開発を進めており,その一つとしてマイクロバブルを利用した技術についても注目してます.私たちの研究室では,生体内の超音波の伝播挙動及び超音波照射下におけるマイクロバブルの挙動について,実験及び数値シミュレーションの両面から解析を行っています.

 ◆ 生体内流  研究テーマ

    生体内の血液循環において,微小循環系は,体組織との物質交換が盛んな重要な場所であり,そこでの流れの解明は生体内における酸素や栄養分の供給の観点から非常に重要となります.また,それだけでなく,副作用の少ない治療法として注目されているドラッグデリバリーシステム(DDS)においても薬剤を放出する部位として重要になります.このような系においては,赤血球やDDSカプセルなどの輸送担体は,その大きさが管径に対して無視できないため,これらを分散体と捉えた分散混相流として扱う必要があります.本研究室では,赤血球を構成する脂質2分子膜をもつカプセル(ベシクル)を対象として,膜を構成する分子のスケールから,ベシクル1個程度のメゾスケール,さらに多数のベシクルが血管中を流動するマクロなスケールに対して数値計算および実験から解析を行っています.さらに,スーパーコンピュータ「京」を用いて,多数の赤血球・血小板を含む系に対し,心筋梗塞,脳梗塞と深く関連した血栓症のシミュレーションを実施しています.

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教授
高木 周
講師
渡村 友昭
博士課程
6名
修士課程
12名
学部4年生
6名