松本・高木研の研究紹介

希薄気体流れ・混相流・医療応用・生体内流の4テーマに対して,「ミクロな解析によってマクロな現象を解明する」ことを目的とし,シミュレーション及び実験による研究を行っています。

最近の卒論・修論のテーマ

希薄気体流れ

研究テーマ

流体を構成する個々の分子運動がマクロな熱流動構造に影響を及ぼすような系では,異なる時空間スケールの現象が複雑に相互作用しています.そこで,このような系を解析するために多重スケール解析という考え方を用いて,電子状態から分子運動,そして熱流動現象を体系的に結びつける数値解析モデル化の構築を行なっています.このような研究は,高高度飛翔体や半導体製造プロセス等,様々な分野に応用が可能です.

混相流

研究テーマ

混相流は工業的に多用されていますが,そこには連続体の問題に加え分散相と連続相の相互干渉による影響が複雑に関わっており,十分な現象の解明には至ってはいません.これは混相流が,分子スケールから工業プラントに渡るマルチスケールを有するためであると考えられます.例えば,気泡流では,不純物や界面活性剤が流動場に微量に混入しただけでも気液界面が分子スケールで著しく変化し,システム全体の流動構造に影響を及ぼします.これらを踏まえた上で本研究室では,気液の相互干渉についてマイクロ,メゾ,そしてマクロな視点から数値計算及び実験の双方から研究を進めており,系統的な気液二相流の解明を行っています.

医療応用

研究テーマ

医療現場において,現在超音波が様々な形で利用されており,例えば,体外衝撃波結石破砕術(ESWL),超音波診断装置等が挙げられます.現在,より低侵襲な治療,高分解能な診断画像が要求されており,その実現に向けて我々はマイクロバブルを積極的に利用することが有効であると考えています.本研究室では,超音波の伝播挙動及び超音波照射下におけるマイクロバブルの挙動について,実験及び数値シミュレーションの両面から解析を行っています.

生体内流

研究テーマ

微小循環系は,体組織との物質交換が盛んな重要な場所であり,そこでの流れの解明は工学の医療応用(DDS,人工酸素運搬体など)に向け大きな期待がされています.このような系においては,赤血球などの輸送担体は,大きさが管径に対して無視できないため,これらを分散体と捉えた分散混相流として扱う必要があります.私たちの研究室では,赤血球を構成する脂質2分子膜をもつカプセル(ベシクル)を対象として,膜を構成する分子のスケールから,ベシクル1個程度のメゾスケール,さらに多数のベシクルが血管中を流動するマクロなスケールに対して数値計算および実験から解析を行っています.