Research

Theme 1

固体高分子形燃料電池カソード触媒層内の水・酸素輸送解析

移動体や定置用発電用途で活用が進められつつある固体高分子形燃料電池ですが,更なる普及のためにはシステムの小型化と低コスト化が求められています.

これらの要求を満たすためには,燃料電池の高電流密度化(電池の断面積あたりから取り出せる電流を増やすこと)が必要です.電流密度が増加すると,電池内部の物質輸送抵抗が発電性能低下の主要因となることが知られています.

本研究では,燃料電池を構成する部材のひとつである触媒層を対象として,触媒層内部の酸素と水の輸送機構を実験と数値シミュレーションにより明らかにし,より高性能な材料を設計するための筋道を示すことを目指しています.

Image
Theme 2

気液界面における蒸発過程の微視的計測

多孔体表面からの蒸発は,自然や工学応用において広く普遍的にみられる現象であり,植物の蒸散,土壌からの水分の蒸発,淡水化デバイス,半導体素子の冷却などにおいて重要な役割を果たしています.

前項で説明した固体高分子形燃料電池においても,水の相変化は発電性能を左右する要因です.

本研究では,(1)気液界面における蒸発の微視的描像を明らかにすること,(2)多孔体表面からの蒸発によって生じる非平衡性の強い気体流れ(クヌッセン層と呼ばれています)の振る舞いを明らかにし,デバイス応用につなげることを目的としています.

Image
Theme 3

高性能CO2分離膜(促進輸送膜)の気体輸送機構に関する研究

国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると,産業革命以降の温度上昇を1.5℃以内に抑えるためには,2050年頃までにカーボンニュートラルを実現する必要があるとされています.これまでに日本を含め,120以上の国と地域が2050年までのカーボンニュートラル実現を表明しています.

目標達成のためには,CCUS (CO2 capture, utilization and storage: 二酸化炭素回収・有効利用・貯留)やDACCS (direct air capture with carbon storage: 炭素直接空気回収・貯留)といった技術が不可欠です.

本研究は,CCUSやDACCSを低コストで実現するための鍵となるCO2分離膜を対象として,その分離機構を分子シミュレーションにより明らかにし,材料設計への指針を与えることを目指しています.

Image
Theme 4

プリンテッド・エレクトロニクスのインク塗布工程の流動解析

近年,回路素子を作成する新しい技術として,インク化した機能性材料を印刷技術によってパターニングするプリンテッドエレクトロニクス技術が注目を集めています.

従来の回路製造手法に比べ安価で軽量な素子を大面積に作成することが可能であり,フレキシブルデバイスやウェアラブルデバイス,有機半導体などへの応用も期待されています.

本研究では,インク塗布工程における流体力学的現象(脱濡れ)を詳細に調べ,微細な印刷を可能とする技術開発に貢献することを目指しています.

Image
Loading...